セミナー・シンポジウム

HiSORセミナー

電子顕微鏡用軟X線分光器の開発と実用化

日時 2015年12月3日 (木) 15:00~
場所 放射光科学研究センター 2階 セミナー室
講師 小池 雅人
(日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究センター)

 電子顕微鏡は90年近くの歴史を持ち、微小領域の観察・分析に多くの貢 献をしてきた。そのため元素分析、構造解析、状態分析などの目的でエネ ルギー分散形分光器(EDS)、波長分散形分光器(WDS)など多くの分光器 が開発されてきた。しかしながら、リチウム等の軽元素の分析に必要な軟 X線領域において実用的な電子顕微鏡用分光器は存在しなかった。そこで、 東北大学、日本電子、島津製作所、原子力機構のグループは不等間隔溝収 差補正型回折格子と高感度X線CCDカメラを組み合わせることにより、高 エネルギー分解能を実現する電子顕微鏡用軟X線分光器を開発した。この 装置の特長はEDS同様にパラレル検出可能で、かつWDSが持つエネルギー分 解能を超える0.3eV (Fermi端 Al-L基準) の高エネルギー分解能分析が 50eV~4keVの広いエネルギー領域で可能である。新開発の分光系デザイン により、回折格子や検出器(CCD)を動かさずに異なるエネルギーのスペ クトルを同時に測定できる。しかも高エネルギー分解能であるので、状態 分析マップの収集が可能である。この装置の心臓部である平面結像型不等 間隔溝ホログラフィックラミナー型 回折格子の開発、分光器システムの 概要及び、マッピングを含む測定データについて紹介する。

問合せ先 佐々木茂美(放射光科学研究センター)