BL9A - 光電子分光実験ステーション


1. 概要

 BL-9は、マルチモードアンジュレーターを光源としたビームラインです。分光器は、Off-Plane Eagle Mount 直入射分光器で、 円偏光モードの1次光 4〜40 eV のエネルギー範囲をカバーしています。アンジュレーターギャップ、位相の変更は定時のみ可能で、入射時、13時、16時の3回です。光学系は、円偏光を末端まで導けるように設計されており、回折格子は、低エネルギー用のAl 600lines/mmと高エネルギー用のAu 1200lines/mmが用意されています。 現在は、エンドステーションには、高分解能光電子分光装置(GAMMADATA-SIENTA SES-2002)を接続し、実験を行っています(装置について後述)。

2. 性能

光学系 前置集光鏡(2枚)− 3m Off-Plane Eagle 分光器 − 後置鏡(1枚)(図1参照)
エネルギー領域 10〜40 eV (G1), 4〜12 eV (G2)
分解能 E/ΔE 5500〜30000 with 10 μm slits (図2参照)
ビームサイズ 3 mm (H)×0.5 mm (V) @ sample position
ビーム強度 〜10^10 photons/s (with 10 μm slits), 〜 10^12 photons/s (with 100 μm slits)



図 1:BL-9の光学系の概略図



 図2は、BL-9のエンドステーションで分解能評価のために測定した、光エネルギー 24 eV (50 nm)付近のHe 吸収スペクトルの収斂構造です。10pの半値幅や28pまで構造が確認できることから、E/ΔE 〜 16000と見積もられます。同様にしてその他の気体の吸収スペクトルから得られたエネルギー分解能を表に示します。


図 2:He 吸収スペクトル


G1(1200 lines/mm) Slit width:10μm
E/ΔE〜12000 (ΔE〜2.3meV) @〜30 eV (Ar)
E/ΔE〜16000 (ΔE〜1.5meV) @〜25 eV(He)
E/ΔE〜18000 (ΔE〜1.2meV) @〜21 eV (Ne)
E/ΔE〜25000 (ΔE〜0.54meV) @〜13 eV (Xe)

G2(600 lines/mm) Slit width: 5μm
E/ΔE〜30000(ΔE〜0.25meV) @〜7 eV  (O2)


3.末端装置(光電子分光装置)

3.0 概要

 BL-9実験ステーションには、現在、固体試料を対象とした高分解能光電子分光装置(GAMMADATA-SIENTA SES-2002)が接続されています。電子エネルギー分析器と光の角度は50°の一定で、角度分解測定の場合はサンプルを回転させることにより、θをスキャンします(回転は1軸のみです)。測定試料の清浄表面は、ヤスリがけ、または、ナイフエッジを使った破断を測定槽内で行うことで得ます。また、X線管も備えており(分解能〜1 eV)XPS測定も可能となっています。

3.1 光電子分光装置 性能

測定可能エネルギー範囲 7 〜 32 eV
全エネルギー分解能 角度積分 〜10 meV
角度分解 〜15 meV (角度分解能 〜±0.25°)
基本真空度  〜1×10^-10 Torr
試料温度 20 〜 300 K
試料準備 ヤスリがけ & 破断 (ナイフエッジによる)


3.2 その他

 本装置は、超高真空装置であり、測定槽の真空度及び質を常に高く維持する必要があります。現状では、真空を悪化させるような試料(液体等)については測定は行えません。また、高度な表面処理を必要とするサンプルは測定できません。